テレビのCMなどで「歯周病予防」をうたう歯磨き粉やデンタルリンスをよく見かけますよね。「言葉自体はよく知っているけれど、具体的にどんな病気なのかは詳しく知らない」という患者様が、実はたくさんいらっしゃいます。歯周病は、自覚症状が少ないまま進行することから「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれており、大人が歯を失う原因の第1位となっています。「自分は大丈夫」と思わずに、正しい知識を持って予防していくことが大切です。今回は、歯周病の特徴や進行のプロセス、そして今日から始められる効果的な予防法についてプロの視点から分かりやすく解説します。1. そもそも歯周病とはどんな病気?歯周病とは、歯と歯ぐきの隙間に溜まった「歯垢(プラーク)」の中に潜む細菌によって歯ぐきが炎症を起こし、最終的には歯を支えている「歯槽骨(しそうこつ)」という骨を溶かしていく病気です。「むし歯」は歯そのものが溶かされる病気ですが、「歯周病」は歯を支える土台が壊される病気です。どれだけむし歯のない綺麗な歯であっても、土台が溶けてしまえば歯はグラグラになり、最終的には抜け落ちてしまいます。実は、日本の成人の約8割が何らかの形で歯周病の兆候を持っていると言われています。特に中年期以降は、加齢による免疫力の低下や、歯ぐきが痩せて隙間ができやすくなることなどが重なり、発症・進行のリスクが急上昇するため注意が必要です。2. 知っておきたい歯周病の「5つの段階」歯周病は一晩で悪化するわけではなく、長い時間をかけて徐々に進行していきます。一般的に、健康な状態から末期症状まで以下の5つの段階に分けられます。【段階1】健康な状態: 歯と歯ぐきがキュッと引き締まっており、その隙間(歯周ポケット)の深さが1〜2mm程度に保たれている状態です。【段階2】歯肉炎: 歯周ポケットの深さが2〜3mm程度になります。歯垢が溜まることで歯ぐきだけが赤く腫れ、炎症を起こしている状態です。この段階であれば、丁寧なセルフケアと歯科医院でのクリーニングで元の健康な状態に戻すことができます。【段階3】軽度歯周炎: 歯周ポケットの深さが3〜5mm程度になります。炎症が歯ぐきの奥まで広がり、歯を支える歯槽骨や周囲の組織が少しずつ破壊され始めます。【段階4】中度歯周炎: 歯周ポケットの深さが4〜7mm程度になります。骨が半分近くまで溶けてしまうため、指で押すと歯がぐらぐらと揺れ始めます。歯ぐきが下がって歯が長く見えたり、口臭が強くなったりします。【段階5】重度歯周炎: 歯周ポケットが6mm以上の深い状態になり、歯槽骨も大部分が破壊されて歯はぐらぐらになります。ここまで進行してしまうと、歯を保存することが難しくなり、抜歯が必要になるケースがほとんどです。3. 歯周病を引き起こす「直接的」および「間接的」な原因歯周病の原因は1つだけではありません。「直接的な原因」と、それを悪化させる「間接的な原因(危険因子)」が複雑に絡み合っています。■ 直接的な原因:プラーク(歯垢)最大の原因は、歯の表面に付着する「プラーク」です。プラークは食べカスではなく、生きた細菌の塊です。この細菌が毒素を出し続けることで歯ぐきに炎症を起こし、骨を溶かしていきます。さらにプラークが硬くなった「歯石」は、表面がザラザラしているため、さらなる細菌の温床となります。■ 間接的な原因:生活習慣や環境歯周病が「誰にでもなる可能性がある」と言われるのは、日々の生活習慣が大きく関係しているからです。不十分なブラッシング: 磨き残しが多いと、当然プラークが溜まります。喫煙: タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、お口の免疫力を低下させるため、歯周病を劇的に悪化させます。ストレスや睡眠不足: 身体の免疫力が落ちると、歯周病菌に対抗できなくなります。糖尿病などの全身疾患:糖尿病と歯周病は相互に悪影響を及ぼし合うことが分かっています。4. 歯周病の代表的なサインと放置するリスク歯周病の初期段階では、むし歯のような強い痛みがほとんどありません。そのため、以下のような「小さなサイン」を見逃さないことが大切です。歯を磨いているときに歯ぐきから血が出る朝起きたときに、お口の中がネバネバする歯ぐきが赤くぷっくりと腫れている家族から口臭を指摘された「ただの歯ぐきの腫れだから放っておけば治るだろう」と放置するのは非常に危険です。お口の中で増殖した歯周病菌や炎症物質が、血液を通じて全身を巡ると、糖尿病の悪化、脳血管疾患、心疾患(心筋梗塞など)、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といった深刻な全身疾患を引き起こすリスクを高めることが判明しています。5. お口の健康を守る!おすすめの歯周病予防法歯周病は恐ろしい病気ですが、正しいケアを継続すればしっかりと予防・コントロールが可能です。① 毎日のブラッシングの質を上げる予防の基本は、原因となるプラークを毎日しっかり除去することです。ただ時間をかけて磨くのではなく、「歯と歯ぐきの境目」に毛先を45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かすのがポイントです。 また、手動の歯ブラシに加えて、音波の力で効率よく汚れを落とせる「電動歯ブラシ」や、歯と歯の隙間の汚れをかき出す「デンタルフロス(糸ようじ)」「歯間ブラシ」などの補助用具を必ず併用しましょう。② 歯科医院での定期検診とプロによるクリーニングどんなに丁寧に磨いている方でも、お口全体の汚れを100%落とし切ることは困難です。落としきれずに「歯石」になってしまった汚れは、毎日の歯磨きでは絶対に除去できません。そのため、3〜6ヶ月に1回は歯科医院に通い、専用の器具を使って歯石や深いポケットの汚れを徹底的に除去するクリーニングを受けることが必要不可欠です。6. まとめいくつになっても食べたいものを自分の歯で美味しく噛める喜びを味わうために、日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的な「予防メンテナンス」を習慣にしていきましょう。よしむらファミリー歯科 イオンビッグ香芝院は、地域の皆様が世代を超えて健康でいられるよう、一人ひとりに寄り添った親身な診療を心がけています。イオンの中にございますので、日々のお買い物ついでにどうぞお気軽にお立ち寄りください。患者様に満足していただき、笑顔で帰っていただけるよう頑張ります。 お口の中で困っていることや、気になることがあればなんでも相談して下さいね。